豆田 香果 さん
海外研修で改めて知った日本の介護の素晴らしさ。これからの人財育成にも活かしていきたい。
福祉の仕事は、在宅のホームヘルパーからスタート。その後、介護福祉士の資格を取り、こうほうえんで働くようになりました。1対1だったホームヘルパーと違い、施設では大勢の方を見なければなりません。ときには歯がゆい思いをすることもありますが、忙しい中でもご利用者の横を通るときは、いったん立ち止まり、一人ひとりの目を見て声を掛けたり、気持ちを声に出せない方も多数いらっしゃるので、できるだけ表情を見ながら思いを感じ取って、ケアに活かしていくということは気を付けています。
以前、こうほうえんの教育制度の中で、デンマークに海外研修へ行かせてもらう機会がありました。福祉先進国として知られるデンマークは、システムや技術で優れている点も多く、学ぶべきところはたくさんありました。ただ、現地のホームヘルパーについてまわり、実際の介護の様子を見せてもらうと、日本の方がすごく丁寧で繊細な介助をしているなと感じました。言葉がなくても感じ取ったり、目や表情で伝わってくるものを介護士の立場で察したり。デンマークでの介助の様子を見て、「察する」というのは、日本人独特の感性なのかもしれないと気づき、改めて日本ならではの介助を素晴らしいと思いました。海外での研修は、新しいことを吸収するだけではなく、自分たちを見つめ直すいい機会にもなりました。
係長という立場になった今、現場の仕事からは少し離れますが、今後は職員を育てる人財育成に積極的に取り組んでいきたいと思っています。いろいろな技術は、経験を積めばあとからついてくるもの。なので、まずは根本となる「互恵互助」の理念をしっかりと理解してほしいというのが、私の願いです。土台がなければ、何も積み重ねることはできません。誰のための福祉施設なのか。「互恵互助」をしっかりと自分の中に落とし込み、動ける人財を増やし、より良い施設づくりに貢献していきたいです。